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ポジティブ心理学実践ワーク
ポジティブ心理学

チェンジを起こすためのワーク⑫ コラボレイティング・エビデンス :変化を促す複数の証拠を集める

「チェンジを起こすためのワーク① 変化を妨げる要因 REDUCEを知る。」で説明したように、人間が変化や新しい挑戦を受け入れるためには、変化に対する障害REDUCEを減らす、あるいはなくす事が有効です。

チェンジを起こすためのワーク① 変化を妨げる要因 REDUCEを知る。ポジティブ心理学...

REDUCEのCEはCorroborating Evidence:コラボレイティング・エビデンス。一人では変化する事が難しくても、他の人からの後押しがあると変化を受け入れやすい事を指します。

私達は変化した方がよい、新しい事にチャンレンジした方がよいと理屈でわかっていたとしても、なかなか行動には踏み切れない場合が多々あります。

そのような時は、他の人達の、複数の情報や証拠を得る事で、変化が自分にとって受け入れるべき事であり、変化していく事に価値がある事を確認します。

複数の人がその変化を肯定し、よい影響をもたらすと証言しているならば、変化を受け入れやすくなります。一つの証拠よりも、複数の証拠が、変化を後押しします。

この場合、「複数の人」が誰かという点が重要です。自分と共通性が高い人達であるとより効果的です。雲の上のような人や芸能人の証言よりも、同じ職場や学校、同じような悩みや希望を持っている人達からの証言の方が、自分を説得させやすいのです。

それから複数の人達の証言を一定の期間内に集中して確認する事も効果的です。1年くらいの間に散漫的に証言を得るよりも、1週間や1ヵ月といった限られた時間内に集中して複数の人の証言を得ることで、変化を受け入れやすくなります。

商品広告に多用されているコラボレイティング・エビデンス

自分と共通性のある複数の人達の証言を、限られた期間内に集中して得ることで、変化を受け入れやすくするコラボレイティング・エビデンスの手法は、広告に頻繁に使われています。

50代といった年齢層向けに、一般の消費者が商品の使用経験を述べその効果に感嘆するテレビコマーシャルがよく流れますが、これは50代という共通項を持った人達に「この商品は効果があるという証言があります」と言うメッセージをCM時間中に繰り返し放映するわけです。

加えて、「今なら」送料が無料、2個買えば1個ついてくる、お試し価格で1000円で購入できる等、前回述べたようなアップフロント・コストを下げる工夫をすることで、新しい商品を試すという行動を消費者に促します。

一度却下された提案を上司に再度提案したい

コラボレイティング・エビデンスは、商品広告だけでなく、私達が変化を受け入れる事にも使えます。

例えば人事部に勤めるAさんは、社員間のコミュニケーションを活発にするために、職場で社員が休憩時間に雑談したり、お茶や食事を一緒にできるカフェテリア・スペースを設ける事を上司に提案したいと考えています。一度上司に提案してみたのですが、会議室を一個つぶしてカフェテリア・スペースを作らないといけませんし、カフェテリア・スペースで食事やお茶をすることで本当に社員のコミュニケーションが活発になるのか、上司は疑問視して却下されています。

Aさんは今度は自分の意見だけでなく、他の社員の意見を集めて、上司に再びカフェテリア・スペースの提案をしてみることにしました。

社員にアンケートを取り、カフェテリア・スペースがあれば利用したいと思うか、同僚との会話に利用できると思うか、職場のコミュニケーションアップにより仕事の生産性が向上すると思うか、アンケートを取ったところ、肯定的な意見が多かったので、それをまとめて上司に提出しました。

アンケート結果を提出後、翌日には、同じ業種のライバル会社が、職場に同様のスペースを設けて、社員間のコミュニケーション向上を図っているという雑誌に載った記事を参考資料として上司に提出しました。

Aさん一人の意見ではなく、他の社員あるいは同じ業界の他社の意見や推奨をコラボレイティング・エビデンスとして上司に提出することで、上司を説得できました。

変化を起こしたい時には、自分一人の考えや理由だけでなく、自分と共通性のあるコミュニティの他の人達の見解や行動を変化する事を肯定する証拠を集めて、変化する事を促すと効果的です。

※University of Pennsylvania,Jonah Berger「Removing barrier to change」の講義を参考にしています。

 

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