オフィス・ライトハウス
ポジティブ心理学実践ワーク
仕事に前向きになる方法

交渉をうまく進める心理スキル④  コントラスト原理を使う

コントラスト・プリンシパル(Contrast Principal)は、比較の原理、コントラスト原理と訳されます。

物事は比較することによって、その差異が際立ち、意思決定に大きな影響を与えます。

交渉ではあえて比較対象を持ってくることで、それぞれの差異を強調し、相手に自分が推したい答えを選んでもらうようにする心理スキルです。

例えば、高橋さんは、職場の部下の時田さんに資料作成を任せても、締め切り通りに終わらせず、必ず遅れて提出してくるので困っているとします。締め切りを守らない時田さんに注意しても、次回もやはり指定した締め切りを数日過ぎて提出してきます。高橋さんとしては、このままでは時田さんに資料作成の仕事は任せられなくなり、チームを外れてもらうことも考えなくてはならないと困っています。

そこで高橋さんはコントラスト原理を使うことにしました。

時田さんに、何回注意しても資料作成の締め切りを守れないならば、今後の時田さんの仕事について見直さなければならないと伝えました。

その上で時田さんに3つの選択肢を示しました。

  1. 資料作成の締め切りを守れないので、このチームから外れてもらう。
  2. 資料作成の締め切りを守れないのなら、このチームに残るとしても資料作成の仕事は任せられないので、経費処理の仕事に変わってもらう。
  3. 資料作成の締め切りを次から守れるなら、このままチームで資料作成の仕事をしてもらう。ただし、次に締め切りを守れなければ①か➁の決断をしてもらう。

時田さんは締め切りを守れないけれど、このチームで働くことは好きだし、資料作成の仕事自体は好きなのです。このチームから外れることや、資料作成以外の仕事に変わることは、絶対に避けたい事です。時田さんは➂を選びます。しかし、今後締め切りを守れなければ、①や➁を選ばざるをえないことになると認識をします。時田さんとしては、①や➁の選択肢に比べて、➂の選択肢が自分にとって一番いいと理解します。

コントラスト原理を使う時には、最初の選択肢に当該者にとって最も望ましくない事を示すことがキーになります。当事者が「それは受け入れられない」と拒否反応を示しやすい選択肢を最初に示し、その後で、最初の選択肢よりはベターだと思える選択肢を2~3個示すようにします。

複数の選択肢を比較する事で、当事者が能動的に決断したと思えますし、当事者がその選択を納得しやすくなります。

このコントラスト原理は、顧客に対する商談でも効果を発揮します。

※University of Michigan, George Siedel教授の「Successful negotiation」を参考にしています。

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