会社務めを長く続けてきた人が定年を迎え退職すると、急に不安になる、あるいは無気力になるケースがあります。
退職直後は解放感を味わい、旅行に出かけて自由な時間を楽しむかもしれませんが、しばらくすると、ありあまる時間を持て余し、退屈し、テレビやネットばかり大して面白くもないのに視聴し続けていたり。誰にも必要とされない自分を卑下したり、何の社会的地位も職場のタイトルもない自分が無価値に思えたり。やるべきタスクもない毎日が無味乾燥に感じられ、雑談をする同僚がいなくて孤独を感じる。
こんな風に退職後、不安や落ち込みを感じる人こそ、好奇心を育てることが大事です。
まずは、自分自身の感情に好奇心を持ってみましょう。会社務めをしていた頃とは違う自分の気持ち、感情。それをじっくりと見つめてみましょう。
自分がいまどのように感じているのか。
自分が現在の状況について、どう思っているのか。
自分の感情、気持ちを、興味をもって見つめ直してみます。
この時、自己批判、自己卑下するのではなく、「自分にはこういうところがあったのだなあ」「自分はこういう風に感じているのだなあ」と、自分の感情を発見するつもりで、なるべく客観的に、正直に、見つめ直しましょう。
そして今感じている不安や不満、憂鬱、もやもやを紙に書き出してみます。誰に見せるわけでもないので、正直に、自分は今こう感じているということを書き出してみるのです。
- 何のためにこれからの人生を過ごすのか目的がわからない。
- 仕事を退職した後の、自分の「役割」は何なのかわからない。
- 出歩かなくなって、健康状態が悪化したらどうしよう。
- 毎日同僚とランチを食べていたのに、今は一人。
このような不安を書き出すことで、自分の不安を膨張させるのではなく、不安を具体的に特定できます。不安の正体を特定することで、かえって人は安心できるものです。何かよくわからないもやもやとした不安の固まりが、人を更に不安にさせていくのです。
そして書き出した気持ちを読み返してみます。
そのうちの一つを取り上げてみます。
たとえば、「仕事を退職した後の、自分の「役割」は何なのかわからない」というもやもやを取り上げたとします。
このもやもやを失くすために、好奇心を活用できることはないでしょうか。前回のリストの中から探してみましょう。なるべく、自分の好きなことや、面白そうだなと思う対象と関係があることを選んでみましょう。
例えば・・・
- 食事提供ボランティアに参加
- 動物シェルターのボランティアに参加する
- 花壇を整備するなど、地域の環境保護活動に参加する
などの行動です。
「〇〇会社の〇〇部長」という社会的役割は消えたとしても、ボランティア活動の中心メンバー、あるいは環境保護活動参加メンバーという、新しい役割を見つけ出すかもしれません。
ただし、あまり気が進まない、好きではないことを無理やり好奇心を持とうとしても、なかなかうまくいきません。億劫な気持ちが先に立ってしまいます。自分が好きな、面白いと思う対象を選ぶようにしましょう。
自分の不安やもやもやの一つ一つを消していくための好奇心に満ちた行動を、順々にとっていきましょう。ボランティア運営の責任者に推される、花壇設計を依頼されるなど、新しい可能性が開けるかもしれません。
※Kerry Burnight著『Joyspan: A Short Guide to Enjoying your Long Life』を参考にしています。






