オフィス・ライトハウス
ポジティブ心理学実践ワーク
ネガティブ感情の対処法

書いて解きほぐすネガティブ感情シリーズ① 「認知のゆがみ」を発見する

怒り、自己嫌悪、自己否定、失望、嫉妬等様々なネガティブな感情があります。いや~な気持ち、心の中がざわざわして、鬱々とした気持ち。あるいは、自分や他人を攻撃したくなるような激しい波立つ感情。そのような感情を書いて整理することで解きほぐしていきましょう。
まず、あらゆる種類のネガティブ感情への対応に使える方法を紹介します。それは自分の「認知のゆがみ」を見つける方法です。

私達は出来事に対し、その出来事を瞬時に自分の中で解釈し、その事件に対する反応(心理的反応や身体的反応)を決定します。その「瞬時に自分の中で解釈」する時に、自分の中に埋め込まれた思い込みや、無意識の習慣化された考えが影響し、私達の反応を決定していきます。「瞬時」に行われるので、通常は意識できません。ですから「書くこと」で自分の中の思い込みや無意識の考えをあぶり出していくのです。

ネガティブな感情を感じたら、ノートに6つの項目を書きます。

  1. 状況
  2. 感じた感情の種類
  3. 自動的に浮かんだ思考
  4. 認知のゆがみ
  5. 合理的な反応
  6. 合理的な反応を認識した後の変化

です。

例えば、仕事で顧客に営業の電話をかけたら「忙しい時にそんな電話してくるな!」と怒鳴られて電話をガチャン!と切られた場合を考えてみましょう。

そんな状況になったら誰でも怒りや落ち込みを覚えますよね。いつもならそこで自分のネガティブな感情がどんどん膨れ上がって、嫌な気分になるところですが。一呼吸して、その出来事について紙に6つ項目を書いてみます。

まずは最初の3つの項目を書いてみます。

  1. 状況
    顧客Aに営業の電話をしたら忙しい時に電話してくるなと怒鳴られ、電話を一方的に切られた。
  2. 感じた感情の種類
    怒り80%。落胆20%。
  3. 自動的に浮かんだ思考
    Aはなんて失礼なヤツなんだ!いくら客だからといってあんな態度を取っていいはずがない!自分はAに軽んじられている。
    Aは自分を信頼していないし、尊重もしていない。自分は営業員としては能力がないかもしれない。もう営業の電話なんてかけたくない。どうせAみたいにガチャンと切られる。自分は営業には向いていないのだ。

次に「認知のゆがみ」を書いていきます。
この時に「認知のゆがみ」にはどのような種類」があるのか知っておく事が大切です。

「ネガティブになったら「認知のゆがみ」だと気づきましょう」でも書きましたが、心理学者デイビッド・D・バーンズ氏は10個の代表的な「認知のゆがみ」を挙げています。
また、「レジリエンスを使って自分を変えていく方法⑤ 自分が陥りやすい「思考のトラップ」を見つけましょう」では「思考のトラップ」として「認知のゆがみ」を紹介しました。
この2つを合わせて、私達が陥りやすい15種類の「認知のゆがみ」が存在すると覚えておきましょう。下記の15種類の「認知のゆがみ」を紙やノートに書いておくといいでしょう。

  1. 全か無か思考:物事をすべて黒か白かで判断する。
  2. 一般化のし過ぎ:一つ悪いことが起きると、全部がだめになると思う。
  3. 心のフィルター:一つの悪いことばかりをくよくよずっと考えていること。
  4. マイナス化思考:よいこともあるのに無視し全て悪いことに塗り替えてしまうこと。
  5. 結論の飛躍:事実でもないのに悲劇的な結論を出してしまう。
  6. 拡大解釈と過小評価:失敗を大げさに考え、いい点をたいしたことはないと思う。
  7. 感情的決めつけ:自分の感情が真実だと思ってしまう。
  8. すべき思考:こうすべきという決めつけ。
  9. レッテル貼り:自分や他人にレッテルを貼る。
  10. 個人化(ミー・トラップ):よくない出来事を全部自分のせいにする。
  11. ゼム・トラップ:ミー・トラップの反対の思考。全部他の人が悪いと思い込む。自分以外の誰かのせいで問題が生まれたと責める。
  12. マインド・リーディング:人の気持ちを勝手に想像しわかっていると思い込む。または、人が自分の気持ちを全部わかっていると思い込む。
  13. カタストロファイジング(深刻化):非現実的な最悪の事態を想像してパニックになる。自分の想像が、現実を超えて、心配を増幅させる。針小棒大の考え方。
  14. ヘルプレス(無力感):一つの問題がすべての事に悪影響すると考え、自分には何もできないと考えて何もしない。
  15. トンネル・ビジョン:物事の悪い面しか見ない。あるいは物事の良い面しか見ない。

そして「自動的に浮かんだ思考」の中にどのような「認知のゆがみ」が隠されているか、じっくり考えていきます。
この時

  • 必ず15種類の「認知のゆがみ」のどれかが隠されていると思って探す。
  • 「認知のゆがみ」は1種類だけでなく、複数同時に隠されている事が多い。

ことに注意しましょう。

上記の例で考えてみましょう。

  • Aはなんて失礼なヤツなんだ!いくら客だからといってあんな態度を取っていいはずがない!→全部Aのせいにしている。ゼム・トラップかも?
  • 自分はAに軽んじられている。→Aの内心はわからないのに決めつけている。マインド・リーディングかも?
  • Aは自分を信頼していないし、尊重もしていない。→これもマインド・リーディングかも?
    自分は営業員としては能力がないかもしれない。→一度Aに電話を切られたことだけで決めつける必要はないかも。一般化のしすぎか?
  • もう営業の電話なんてかけたくない。→一度Aに電話を切られたことだけで決めつける必要はないかも。一般化のしすぎか?
  • どうせAみたいにガチャンと切られる。→一度Aに電話を切られたことだけで決めつける必要はないかも。一般化のしすぎか?
  • 自分は営業には向いていないのだ。→結論の飛躍か。

こうしてみると

  • ゼム・トラップ
  • マインド・リーディング
  • 一般化のし過ぎ
  • 結論の飛躍

という「認知のゆがみ」が存在するようです。

それでは次回はこれらの「認知のゆがみ」に対して「合理的な反応」を書き出す練習を紹介していきましょう。

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