オフィス・ライトハウス
ポジティブ心理学実践ワーク
レジリエンス

レジリエンスを鍛えてストレス・マネジメント⑧ 未来を心配するストレスからどう自分を守るか

私達に(主に職場で)ストレス反応を引き起こす元になる4種類のストレッサー。

  • タイム・ストレッサー(時間に関係)
  • エンカウンター・ストレッサ―(人間関係)
  • シチュエーション・ストレッサ―(職場の環境に関係)
  • アンティシぺイション・ストレッサー(予想する事に関係)

このうち、シチュエーション・ストレッサーとは「現在の」仕事に関する環境からくるストレスの元だと前回説明しました。対照的にアンティシぺイション・ストレッサー(予想する事に関係)は、「未来の」仕事に関するストレスの元です。

  • 退社する前から退勤後の電車の混雑ぶりを予想して不快になる。
  • 会社がリストラを進めているから自分も対象になるのかと不安になる。
  • 1年ごとの雇用契約の終わりが近づいているけれど、契約更新されるのか心配になる。
  • プロジェクトが始まる前から数々の問題が起こると予想されて不安になる。

未来のことをあれこれ心配する事が、アンティシぺイション・ストレッサーになります。
特に最近の激しい社会構造の変化や働き方の変革によって、たとえ有名大手企業に正社員として就職したとしても、職が守られるのか、定年まで働き続けられるのか、第一その企業そのものが自分が定年になるまでそのまま存続できるのか、予想が難しくなりました。
不透明感や予測不能な要素が社会でも職場でも増加しています。私達の周りには、ますますアンティシぺイション・ストレッサーが増えているということになります。

アンティシぺイション・ストレッサーを受けても、大きなストレス反応を引き起こさないようにするために、自分ができる事を実行していきましょう。幾つか具体的な方法を紹介したいと思います。

短期の目標に集中する

10年後に自分のポジションはあるだろうか?と考えても、先のことはわかりません。10年後の不透明な未来について心配する暇があるのなら、まず目先、1日、1週間、1ヵ月、3カ月の比較的短期の目標の達成に集中しましょう。短期の目標達成に集中しているうちに、未来のこともはっきりしてくるケースが多いのです。

スモール・ウィン戦略

Small Win(スモール・ウィン)とは小さな達成感を積み上げることです。新規契約を獲得する、大プレゼンテーションを成功させる等、大きな成功でなくてもよいのです。「自分で成し遂げた」「自分でもできる」、まさに「Yes, I can」の感覚を、小さな仕事をきちんと終わらせることで築き上げていきます。会議に参加して一つは意見を述べた、顧客とのアポイントメントを1個取り付けた、部下の話を聞いてアドバイスした、上司に自分の提案書の直すべき点を確認して教えてもらった等、小さなタスクでよいので、一個、一個、小さな達成感、スモール・ウィンを積み上げていきましょう。スモール・ウィンの積み上げた先に、大きな仕事を成し遂げることができるのです。

自分に質問する

自分は何を心配してくよくよしているのか、自分の心に問いかけてみましょう。漠然と何か不安だと思っているかもしれませんが、実はその不安の核はプレゼンテーションが上手くできるかどうかの不安だったり、上司とのパフォーマンスレビューがあるので心配だったり、もやもやした不安の核があるかもしれません。
不安の核が見つかったら、それに対してどうしたらいいか?を考えて、自分ができる事にフォーカスしましょう。
プレゼンテーションが上手くいくか不安ならば、上手くいくためにどうしたらよいのか考えましょう。人前でうまく話せるかどうか不安ならば、プロンプターや手のひらサイズのメモを用意して見ながら話しましょう。
パフォーマンスレビューで上司から何を言われるのか心配ならば、自分がこの期間達成したと思うことを紙にリストアップして持っていきましょう。その紙を見ながら自分はこれを達成したと思うのですがと上司に説明することができますし、レビューに向けてきちんと準備したという事を上司に示すことができます。

そして、アンティシぺイション・ストレッサーのオリジンになっている事がよくあるのが「物事の捉え方」です。それほど大きな出来事でも深刻な問題でもないのに、とても大きな不安や心配などのストレスを引き起こしてしまうケースがあります。自分の「物事の捉え方」が適切かどうかを検証してみる事もアンティシぺイション・ストレッサーによるストレス反応を減らすために有効です。

次回は「物事の捉え方」をどう変えていったらよいのかについて説明しましょう。

※Macquarie University 「Build personal resilience」の講義を参考にしています。

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