オフィス・ライトハウス
ポジティブ心理学実践ワーク
仕事に前向きになる方法

交渉をうまく進める心理スキル➁ ZOPAを決めておく

ZOPA(ゾパ)とはZone Of Potential Agreementの頭文字を取った言葉です。
自分がよしとできる範囲、受け入れられる範囲のことです。

仕事でいろいろな立場の人達と交渉する時に、自分としてはAという答えが欲しいと考えても、必ずしもその通りAそのままの答えを得ることが出来るとは限りません。Aという答えでないとだめ!と固執すると、すべての機会を失うことにもなりかねません。AダッシュやAのバリエーションの答えでも、自分としては受け入れられる、納得できると考えるなら、Aのピンポイントではなく、Aに近い範囲なら自分にとって満足できる答えであると、少し視野を広げておきます。許容範囲を少し広くした方が、交渉はうまく進むことが多いのです。

例えば、秋山さんは、自分のチームの現在の業務量が多すぎると考え、月次のレポート作成の業務を他の滝川さんのチームに移したいと考えており、上司と相談しようとしています。秋山さんにとって欲しい答えは、月次レポート作成の業務を自分達のチームから、滝川さんのチームに移すことです。

そして、秋山さんにとってZOPAを考えてみると

  1. 月次レポート作成の業務を滝川さんチームに移せなくても、代わりに人員を1名増やしてもらう。
  2. 月次レポート作成の業務を滝川さんチームに移せなくても、他の業務を他のチームに移してもらう。
  3. 月次レポート作成の業務を滝川さんチームに移せなくても、他の業務を滝川さんチームに移してもらう。
  4. 月次レポート作成の業務を続けないといけないとしても、その内容の簡素化や、作成締め切りを2週間後ろにずらしてもらう。

など、いろいろな許容できる案が出てきます。

上司とのミーティングの前に、最も望ましい答えは「月次レポート作成を滝川さんチームに移してもらう」ことだが、他の選択肢でもよいとZOPAを決めておきます。
上司と話し合い、自分達のチームの業務負担を減らす必要があることを理解してもらい、月次レポート作成を滝川さんチームに移すことに合意してもらうことが一番よいですが、そういかない場合でも、上記の4つのZOPAの合意を得ることができれば、秋山さんにとって交渉は成功だといえるでしょう。

交渉される側の上司も、Aはだめだけど、Aダッシュならよいだろうと、ある程度選択肢があった方が、認めやすくなります。

ZOPAを決めることは、顧客との交渉や、家族間での話し合いでも役立ちます。

大切な事は何が最も大切な目的であるかを見失わないことです。秋山さんの場合、自分達のチームの業務量が多すぎるので業務負担を軽減することが、最も大切な目的です。その一手段として、月次レポートの作成を他チームに移すことがあります。ですから、月次レポートを実際に他チームに移せなくても、業務負担を減らす他の方法を実現できるなら、その方法は秋山さんにとってZOPAに入るわけです。

また、秋山さんにとっても、これでないとだめ!と一つの結果に固執するよりもZOPA内のどれかの結果を得ることができればよいと考えたほうが、交渉で余裕が出ます。

※University of Michigan, George Siedel教授の「Successful negotiation」を参考にしています。

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