オフィス・ライトハウス
ポジティブ心理学実践ワーク
ストレスマネジメント

ストレス・バッファー⑪ 口に入れた物の記録を取る

心理学博士のJenny Taitz氏はその著作『Stress Resets: How to Soothe Your Body and Mind in Minutes』(ストレス・リセット:あなたの体と心を数分で穏やかにする方法)の中で、ストレスにすぐ対処するストレス・リセットの方法を紹介していますが、加えて、少し時間をかけて繰り返し練習することでストレス耐性を強めるストレス・バッファーの構築する方法も紹介しています。
前回「マインドフル・イーティング」をお勧めしましたが、自分が口に入れた飲み物・食べ物のログを取る、つまり記録することも、マインドフル・イーティングを促し、ストレス軽減に繋がります。

ストレス・バッファー⑩ マインドフル・イーティングマインドフル・イーティング...

私達が飲み物や食べ物を口に入れる時、お腹がすいた、喉が渇いたという生物としてのニーズに応えたものであればよいのですが、イライラしたから、自暴自棄になったから、心配事から逃避したいから、などの理由で、体が必要としていない飲み物、食べ物を口に入れることがあります。
お酒、お菓子、ジュース、チョコレート、ポテトチップスなどです。
少量なら問題ありませんが、嫌な事や、逃避したい事があるたびにお酒を飲んだり、甘い物を口にしていると、それが癖になります。ストレスを感じたら、お酒を飲む、甘い物やポテトチップスを食べるということを繰り返していると、習慣として固定してしまい、それらの量や頻度が増えていってしまいます。

お酒を飲む量が増えれば体によくないばかりか、睡眠を妨げたり、脳細胞の働きを破壊したりします。甘い物を食べすぎれば、血糖値やコレストロール値が上昇し、健康を害します。
何より、そのような行動を続けている自分が嫌になり、自己否定、自己効力感の否定に繋がります。
ストレスから逃れようと飲んだお酒や食べたお菓子によって、かえってストレスを深める結果になります。

この悪循環を断ち切ることはすぐには難しいかもしれませんが、ログを付けて、自覚を持つことにより、少しづつ改善していくことが可能です。
一日のうち、食べた物、飲んだ物の記録を取ることを一週間続けてみましょう。その際、食べた物、飲んだ物だけでなく、どのようなシチュエーションで、どのような感情に突き動かされて口にしたかも記録しておきましょう。以下の項目を記録しておくことをお勧めします。

  • 口にした日時、場所
  • 口にした物
  • どのような感情があったか
  • 短期にインパクト
  • 長期のインパクト

例を挙げてみましょう。

  • 5月8日 朝9時 オフィスの自分のデスクで
  • アーモンドチョコレート
  • 5粒
  • 仕事が始まると思うと憂鬱で甘い物が食べたくなった
  • チョコレートはおいしかった
  • 食べた後歯磨きしたり手を洗ったりして時間を取って、仕事を始める時間が遅くなってしまった。

 

  • 5月10日 夜10時 自宅のソファーの上で
  • 缶ビール
  • 3本
  • 仕事で嫌なことがあって、気分転換したくなった
  • ビールはおいしかったが、酔っぱらって、お風呂に入らず寝てしまった
  • 朝頭がすっきりしなかった。体の疲れが残った。

このように、自分が食べた物、飲んだ物を記録しましょう。ポイントはリアルタイムで記録することです。後からまとめて記録しようと思っても、抜け落ちる物もありますし、口にしたシチュエーションを忘れてしまうこともあります。何より、食べる、あるいは飲むたびに記録することで、自分がいかに多くの不必要な物を口にしているかを自覚できます。

一週間記録したら、それをじっくり見てみましょう。
朝食、昼食、夕食の定期的な食事以外に、口にしている飲み物、食べ物は何でしょう?そして、どのようなシチュエーションで、どのような気持ちで、口にしているでしょうか?一定のパターンはありますか?それらを飲んだり、食べたりした後、嫌な気持ちになったりしていませんか?

もし、飲んだこと、食べたことを後悔するような場合があれば、まずは量や、頻度を減らしてみましょう。チョコレート5粒を食べてしまったとしたら、3粒に減らしてみましょう。缶ビール3本ならば、2本に減らしてみましょう。そして、毎日口にしていたなら、一日おき、あるいは二日おきにしてみましょう。
そして、1カ月後、再び、食べた物、飲んだ物の記録を取ってみましょう。
前回よりも、必要がないのに飲む物、食べる物の回数や量が減っていれば、すごい進歩をしたことになります。

食べる、飲むの習慣は、なかなか一足飛びに変えることは難しいです。特に感情と結びついている行動の場合は、切り離すことが困難な場合があります。そういう場合には、記録を取ることでまず自覚を持つこと、そして少しづつでよいので、量や頻度を減らして、変化していることを自分にわからせましょう。

そして、また少しづつ、本当は必要はないけれど、感情的に飲んだり食べたりしている物を減らしていき、自分の中に生まれていく変化を感じてみましょう。

※Jenny Taitzの著作『Stress Resets: How to Soothe Your Body and Mind in Minutes』を参考にしています。

 

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