心理学博士のJenny Taitz氏はその著作『Stress Resets: How to Soothe Your Body and Mind in Minutes』(ストレス・リセット:あなたの体と心を数分で穏やかにする方法)の中で、ストレスにすぐ対処するストレス・リセットの方法を紹介していますが、加えて、少し時間をかけて繰り返し練習することでストレス耐性を強めるストレス・バッファーの構築する方法も紹介しています。
今回は、Face your finance、自分のお金と向き合うことです。
常にお金のことを心配している。
そのくせ、クレジットカードでやたら買い物をしている。
出費が多くて困ると言いながら、毎月何にどれだけお金を使っているのか把握していない。
借金が増えているとわかっているけれど、正確な金額を確認していない。
収入が減っていくので不安を感じる。
このようなお金の心配をしている人は、世の中にたくさんいます。
アメリカの調査では成人の72%がお金の心配をしており、90%の人が自分の借金の正確な金額を把握していないという調査結果があるそうです。
日本とアメリカでは状況は少し異なるかもしれませんが、お金の不安については見て見ぬふり、怖くて正確な自分の財政状況を把握していないという人が日本にも多く存在します。
お金に不安があれば、ストレスは増大し、他の要素(信頼できる人間関係ややりがいのある仕事など)がいくら順調にいっていても、常に心身が押しつぶされる不安感に苛まされることになり、無謀な逃避行動(更に借金するなど)に走りかねません。
絶対的な真実としていえることは、お金の心配は逃げても何も解決しないことです。お金に関しては、事実に正面から向き合うしか、解決方法はありません。
お金の不安を解決するために、まず行うべきことは次の5つです。
- 自分の生活費がいくらで、それは自分の収入の範囲内かを確認する。
- 自分の絶対必要固定費はいくらか(家賃、光熱費、通信費など、生きていく上で絶対に必要な固定費)
- 住宅ローンやクレジットカード支払いなど借金がある場合は、その金額と支払い期日、利率などの把握。
- 自分の収入の範囲内でまかなえる出費計画を作る。(借金やローンなしで絶対必要固定費をまかない、残りの使えるお金はいくらかを理解し、その範囲内での出費をする)
- 生計を共にする家族がいる場合、その家族のお金の状態はどうなっているかを確認。
まず、自分のお金の事実と向き合い、理解する必要があるのです。
そして、お金に向き合う時間を定期的に作りましょう。毎晩15分とか、週末30分などと、お金のチェックの時間を持つようにしましょう。
借金がいくらあるのか、毎月かかる絶対必要経費がいくらなのか、これから必要な費用の金額はいくらなのか、しっかり理解することで、不必要な出費を防ぎ、お金に対するコントロール感を取り戻していきましょう。
『I Will Teach You To Be Rich』(お金持ちになる方法を教えよう)の著者 Ramit Sethi氏は、意識的なお金の使い方のために、自分のお金を4種類に分けるよう提唱しています。
- 固定費(生きていくために絶対必要な出費。家賃や光熱費など)
- 貯金
- 投資
- ギルトフリー出費(罪悪感なしの出費)
Sethi氏は、固定費が自分の手取りの収入の60%以内に納まることが望ましいとしています。もし60%を超えているならば、固定費を削減する策を打ちましょう。
貯金は、自分の収入の5~10%。
投資も、自分の収入の5~10%。(この場合の投資とは必ずしも株式投資ではなく、確定拠出年金やNISAなど、長期の積み立ての資産運用を指します)
ギルトフリー出費は、残りの金額となります。計画通りにいけば、収入の20%くらいはギルトフリー出費(おいしいものを食べる、服飾費、映画や旅行などのイベント)に使えるはずです。
固定費を収入の60%以下にするという明確なターゲットがあると、出費の削減はしやすくなります。工夫をしようという気も起きてきます。
また、節約、出費削減だけでなく、貯金と投資も行うことで、将来への布石も打てます。
ギルトフリー出費の金額があまり残らない場合もあるかもしれませんが、お金の管理が軌道に乗るまでは、優先事項が高い項目ではないので、しばし我慢です。
エクセルなどを使って、計算しながら、しっかり管理していきましょう。
もし、自分でお金の管理をすることがハードルが高すぎる、借金が多すぎてどう手をつけたらよいのかわからないという場合には、公的な力を借りることもできます。多くの自治体には無料でお金の状態について相談できるサービスがありますので、自治体のホームページなどをチェックしてみましょう。
お金は生きていく上で生活の土台になるものです。
お金の土台がグラグラしていると、その上に前向きな生活は立ちにくいです。
お金の心配があるなら、逃げずに、向き合ってみましょう。解決に一歩踏み出してみましょう。
※Jenny Taitzの著作『Stress Resets: How to Soothe Your Body and Mind in Minutes』を参考にしています。