生きていく上で、気分が落ち込み、自分自身に失望したり、自己嫌悪に陥ることは誰にでもあります。落ち込みと人生はセットといってもよいくらいです。
落ち込むこと自体は避けられないとしても、落ち込みから立ち直る方法を身に着けていけば、ダメージを小さくすることができますし、立ち直りも早くなります。回復力を鍛えていくのです。
このシリーズでは、Sue Varma氏の著書『 Practical Optimism: The Art, Science, and Practice of Exceptional Well-Being』を参考に、落ち込みから立ち直る方法を紹介していきましょう。
10個めの方法はバリアー・バスターズ、障害を壊す術を身につけることです。
私達が落ち込んでいる時は、たいてい何等かの障害(バリアー)にぶち当たっているときです。一度の失敗により無力感を感じる。何も進歩していないという停滞感。疲れきって前向きに考えられない疲労感。様々な障害により、自分の能力や、変われる可能性、成長できるチャンスを信じられずに、いつまでも同じ所にとどまり、落ち込み続けている・・・。
そのような状態になったら、思い切って障害(バリアー)を壊してしまいましょう。
バリアーを壊す手段をバリアー・バスターズといい、幾つか身につけておくと、落ち込んでも立ち直りやすくなります。
ベスト・シナリオをイメージ
バリアー・バスターズの具体的な方法の一つとして、ベスト・シナリオをイメージする方法があります。落ち込む原因となった失敗や問題や苦しい状況を乗り越えることができたら、どのような変化が自分に訪れるでしょう?ベストのシナリオをイメージしてみるのです。
できれば、想像するだけでなく、具体的に文章で書き出してみましょう。あるいは絵に描くこともよいでしょう。写真やイラストを集めてコラージュして、ベスト・シナリオの世界をビジュアル化してみることもお勧めです。
今は仕事で失敗をして落ち込んでいるけれど、この失敗を糧にスキルアップして成長し、チームリーダーになった自分。きりっとしたスーツを着て、会議室でチームメンバーとミーティングしている姿を想像します。あるいはそのような写真を雑誌などで見つけてきて、ノートに貼ってみます。
あるいは試験に不合格で落ち込んでいるけれど、もう一度勉強をし直して、二回目で試験に合格する自分をイメージしてみます。参考書を読んで勉強している自分、試験に落ち付いて望んでいる自分、そして合格通知を受け取る自分をイメージしてみます。勉強している姿の写真をスマホに保存するのもよいでしょう。
ベスト・シナリオの未来をイメージして、言葉や絵、写真で表現すると、自分がどこに向かいたいのか、自分がどうなりたいのかが、具体的になってきます。
「今は」落ち込んでいるけれど、この落ち込みは永遠ではなく、自分がこうなりたいという世界に向かう道の過程だと認識することができます。
新しいことにチャレンジ
もう一つのバリアー・バスターズの方法としては、新しいことにチャレンジすることです。
落ち込みの原因と関係がないことでよいのです。新しい経験にトライしてみます。
- ヨガレッスンに通ってみる。
- 家具の修繕をしてみる。
- 窓をきれいに磨いてみる。
- 自転車旅行をしてみる。
- 一人で映画館に行ってみる。
などなど。些細なことでもよいので、今まで自分がやったことがないことにトライしてみます。
新しいチャレンジをすると、何かしらの学びがあります。上手くいけば、自分の新しい能力や興味を発見できるかもしれません。
上手くいかなくても、とにかく自分はチャレンジしたと、チャレンジした自分をほめてあげましょう。チャレンジできるガッツと能力が自分にはあるのです。決して、無能でも、無力でもないのです。
新しいチャレンジをしてみることで、少なくとも。落ち込んでいる自分から、行動する自分にシフトできたのです。落ち込んだ原因となっている障害に対しても、行動を起こしていきましょう。
障害にぶちあたった時は、そこで諦めたり、停滞せずに、バリアー・バスターズを使って、障害を破壊する、あるいは乗り越えていく自分を建て直しましょう。