生きていく上で、気分が落ち込み、自分自身に失望したり、自己嫌悪に陥ることは誰にでもあります。落ち込みと人生はセットといってもよいくらいです。
落ち込むこと自体は避けられないとしても、落ち込みから立ち直る方法を身に着けていけば、ダメージを小さくすることができますし、立ち直りも早くなります。回復力を鍛えていくのです。
このシリーズでは、Sue Varma氏の著書『 Practical Optimism: The Art, Science, and Practice of Exceptional Well-Being』を参考に、落ち込みから立ち直る方法を紹介していきましょう。
9つめの方法は不完全の受容、パーフェクトでない自分を受け入れることです。
失敗や自己嫌悪で落ち込む時、自分に完璧を求め過ぎることが原因の場合があります。100点満点の出来ではないかもしれないけれど、70点くらいはつけられそうな達成度合いなのに、満点でないから自分を許せない、自分に能力がないと思い込んだり。
仕事で1回失敗したから自分は無能だ、才能がない、今の職場に不適切だと思い込んだり。
失敗を他人のせいにばかりするのも困りますが、自分だけを激しく責め過ぎると、自己肯定感を引き下げ、必要な行動が取れなくなってしまい、失敗の挽回もできなくなります。
失敗で落ち込んだら、まず、「自分はパーフェクトではない」ということを受け入れましょう。あなたどころか、人間すべてがパーフェクトではないのです。すべてが揃っている人間も、すべてを完璧にできる人間もいないのです。
まずは、自分はパーフェクトではない、でもそれが普通と、認識しましょう。
次に、現実把握をしましょう。失敗して落ち込んでいると、自分はダメだと自己否定に走ったり、すべてが駄目だという全否定に陥りやすく、そうなると、ますます落ち込みがひどくなります。
現実をオーバーでなく、矮小化もせず、そのまま認識しましょう。
具体的には次の言葉を自分に言ってみましょう。
- 起こったすべての悪いことが、私のせいだということはない。
- 起こったすべてのよいことが、私のおかげだということもない。
- 悪いことも、よいことも、私に責任があるのは、ほんの一部分。それ以上でもそれ以下でもない。
そう自分に言って心を落ち着かせ、あらためて今回の失敗を見てみましょう。
パーフェクトでない自分だから、こういう失敗をすることもある。
でも、すべてが自分の責任ではない。
では、自分の責任だと思うパートはどこか?
自分の責任だと思うパートを、まずどう挽回するか、改善するか、考えてみよう。
失敗のうち、自分が悪かった、自分が何かを変えるべきだと思う部分だけに、まずはフォーカスしましょう。
そうすると、「失敗」という黒い大きな事象が、自分が関わる部分だけの小さな円になります。自分の失敗の原因、その失敗に対して自分が何ができるかという風に、具体的で現実的な対処ができるようになります。
人間はパーフェクトでないからこそ、新たに学び、スキルを吸収できるのです。
パーフェクトでない自分を受け入れて、「失敗から学ぶ」ことが、生きていく上で習慣になるようにしていきましょう。