生きていく上で、気分が落ち込み、自分自身に失望したり、自己嫌悪に陥ることは誰にでもあります。落ち込みと人生はセットといってもよいくらいです。
落ち込むこと自体は避けられないとしても、落ち込みから立ち直る方法を身に着けていけば、ダメージを小さくすることができますし、立ち直りも早くなります。回復力を鍛えていくのです。
このシリーズでは、Sue Varma氏の著書『 Practical Optimism: The Art, Science, and Practice of Exceptional Well-Being』を参考に、落ち込みから立ち直る方法を紹介していきましょう。
16個めの方法は感謝(gratitudeグラティチュード)を習慣にすることです。
落ち込んでいる時は、自分が世界で一番不幸な存在に思えたり、自分が無能で無意味な存在に思えたり、自己否定に浸りがちです。
しかし、人間の存在において、すべてが真っ黒、絶望しかないという事態はほとんどありません。
どんな苦境においても、どんな落胆の底にいても、「ありがたい」と感謝することはあります。
落ち込んでいる時こそ、自分が感謝する対象を見つけてみましょう。しかし、急にそうしようとしても、心が「ありがたい」と思うことを拒否するかもしれません。感謝の対象を見つける事を、落ち込んでいる時だけでなく、普段から毎日の習慣にしておきましょう。
そうすれば落ち込んだ時も、感謝の習慣を通して、回復のきっかけを掴むことができます。
あまり感謝するような気持ちになれない時も、とにかく「私は〇〇〇に感謝している」と口に出してみましょう。慣れないうちは、以下の感謝の構文にあてはめてみましょう。
- 私は〇〇〇であることに感謝している。
- 私は〇〇〇があることに感謝している。
- 私は〇〇〇がいてくれて感謝している。
- 私は〇〇〇ができることに感謝している。
あなたなりの〇〇〇を考えてみましょう。大げさなことでなくてもよいのです。ありがたい〇〇〇を探してみましょう。
- 私は健康であることに感謝している。
- 私は住む所があることに感謝している。
- 私は愚痴を聞いてくれる友人がいてくれて感謝している。
- 私は働くことができることに感謝している。
あるいは
- 私は日本に生まれてきたことに感謝している。
- 私はお給料をもらえる仕事があることに感謝している。
- 私は配偶者がいてくれて感謝している。
- 私は毎日の食事ができることに感謝している。
など、なにかしら「ありがたい」と思える対象があるはずです。その感謝の対象を意識して見つけ、口に出して感謝する習慣を身に着けていきましょう。
落ち込んだ日でも、いえ、落ち込んだ日こそ、感謝の習慣を忘れず、実行しましょう。
落胆や失望の底にいたとしても、「ありがたい」と思うことが私にはまだある・・・。そう自覚することで、心の悪循環から抜け出すきっかけになります。
また、他の人に自分の感謝を伝えると、あなただけでなく相手も「ありがたい」という気持ちをシェアし、相手にとって「私は〇〇〇がいれくれて感謝している」の〇〇〇が、あなたになるかもしれないのです。
- いつも励ましてくれてありがとう。
- 食事を作ってくれてありがとう。
- 家事を手伝ってくれてありがとう。
- 仕事でわからないことを教えてくれてありがとう。
周りの人に「ありがとう」と伝えてみましょう。
ちょっと気恥ずかしいという場合は、手紙やメールで伝えましょう。
たとえ落ち込んでいる時でも、あなたが相手に「ありがとう」と伝えることで、その人は温かい気持ちになるでしょう。
少なくとも、あなたは何にもできない人間ではなく、周りの人を優しい気持ちにすることはできるのです。
感謝の習慣は、ポジティブ心理学でも、一番有効なポジティブ感情を増やす方法とされています。お金もかかりませんし、特別な道具も場所も必要ありません。
落ち込んだ時に活用できるように、普段から、感謝の習慣を身に着けておきましょう。