生きていく上で、気分が落ち込み、自分自身に失望したり、自己嫌悪に陥ることは誰にでもあります。落ち込みと人生はセットといってもよいくらいです。
落ち込むこと自体は避けられないとしても、落ち込みから立ち直る方法を身に着けていけば、ダメージを小さくすることができますし、立ち直りも早くなります。回復力を鍛えていくのです。
このシリーズでは、Sue Varma氏の著書『 Practical Optimism: The Art, Science, and Practice of Exceptional Well-Being』を参考に、落ち込みから立ち直る方法を紹介していきましょう。
最後の20個めの方法は、とにかく体を動かすことです。シンプルですが、よく効きます。
落ち込んでいると自分の部屋にこもりきりになったり、外に出なくなりがちです。
ベッドやソファの上で、同じ悩みをぐるぐると考えて、落ち込みを深めていく。何にもやる気が起きない。
そういう時こそ、悩みはちょっと横に置いておいて、とにかく体を動かしてみましょう。
家の中で掃除を始める、筋トレをするでもよいのですが。
外に出る方が有効です。
外に出てとにかく20分歩いてみましょう。
あるいは自転車に乗って、20分ほど近所を巡ってみましょう。
体を動かすことで、脳内に気分をよくする脳内ホルモンが分泌され、凝り固まっていた首や肩がほぐれてきます。落ち込み悩んでいる時はたいてい首や肩が凝っています。
アメリカで120万人を対象に2018年に行われた調査によると、45分間の運動を週に3=5回行う人は、健康でポジティビティ(心地よく前向きな気持ち)に満ちた人生を送れるそうです。
しかし、45分間も運動するとなると、あまり運動好きではない人にとっては結構ハードルが高いですよね。
そういう場合は、一日に20分運動するだけでも効果が出るそうです。20分は10分ごとの2回に分けても問題ありません。20分歩くだけならば、通勤や買い物にいくだけでクリアーできそうですよね。
落ち込んでいる時は、あえて時間を作って、外を20分以上歩いてみましょう。
2014年にアメリカのスタンフォード大学が行った調査では、歩くことは、座っている状態に比べ、クリエイティビティ(創造力)を60%も高めたそうです。
歩くことで、悩んでいる問題への新しいアプローチや、捉え方がふっと浮かんでくることもあるのです。
ですから、落ち込んだらとにかく体を動かしてみましょう。20分でよいので外を歩いてみましょう。
でも、どうしても外に出る気にならない、歩くのも億劫だという場合。
家の中で、股関節を広げる動きをしてみましょう。
股関節を緩めるヨガやストレッチをしてもよいですし、両足を広げて開脚前屈をするだけでもよいのです。あるいは、両足を上げて壁にもたせかけ、そのまま開脚します。壁がある分、楽に開脚できます。
人間のネガティブな感情や老廃物は股関節に溜まることが多いので、どうしても歩きたくないという場合は、股関節を緩めて広げる動きだけでもしてみましょう。
とにかく動くこと。
体が動き出すと、心も動き出します。
落ち込んでいた気持ちにも、新しい風が舞い込んできます。