「ジェロントロジー:Gerontology」は日本語では「老年学」と訳されます。高齢化していくにつれ心身がどのように変化していくのか、直面する課題は何か、問題があっても充実した人生を送るためにはどうしたらよいのかを研究する学問です。
人生100年時代と言われている現代において、老年学は、単なる学問の領域を超え、年を取っていく誰もが向き合う問題と、現実の生活に対応するためのスキルやノウハウを提供しうるという意味で、注目分野なのです。
アメリカの老年学の第一人者であるKerry Burnight 博士の著作『Joyspan: A Short Guide to Enjoying your Long Life』(ジョイスパン:あなたの長い人生を楽しむためのちょっとしたガイド(意訳))は、加齢と共に向き合う問題を明らかにし、年をとっても人生を充実し満足を得られるものにできますよと、具体的な提言をまとめた本です。Burnight博士の調査や研究から豊富な実例を引いて、高齢者であっても十分人生を楽しめる、年を取ることは悲しむべきことではないと説明してくれています。
本のタイトルにもなっている「Joyspan:ジョイスパン」とは、「Lifesupan:寿命」とも「Healthspan:健康寿命」とも違います。「ジョイスパン」とは、心理的なウェルビーイング、心地よさと、長寿における満足感を得る経験です。
- 「ライフスパン:寿命」は、何年生きたかという数字です。
- 「ヘルススパン:健康寿命」は、何年健康な状態で生きたかという年数になります。
- 「ジョイスパン」は、何年人生を楽しんだかという年数になります。
「ジョイスパン」はQOL(クオリティ・オブ・ライフ)とも言えます。
Burnight博士はこの「ジョイスパン」をできるだけ長くしようと提唱しています。
たとえ100年という長寿で生きたとしても、健康寿命が70年で、あとの30年はひたすら病苦との闘いで苦しい思いをしたということであれば、100年という人生の長さを果たしてありがたいと思うかどうか・・・。ジョイスパンは70年で終わっていたでしょう。
一方、70歳以降病気と格闘し、自分で自由に歩けなくなったとしても、日々の小さな喜びを味わったり、好きな読書を100歳まで満喫できていれば、それは「ジョイスパン」がずっと続いているということになります。ヘルススパンは70年で終わったとしても、ジョイスパンはもっと続き、ライフスパンとイコールになるまで長く続くかもしれません。
ヘルススパンの終わりが、ジョイスパンの終わりとも限らないのです。
ジョイスパンの長さを、なるべく寿命に近づけていく。
生きている間、人生の楽しみや満足感を得られるようにする。
それは、たとえ身体的に課題があったり、病気を抱えていたとしても。
最も重要視すべきは「ジョイスパン」の長さであるということなのです。
ここでいう「Joyジョイ」とは、外部環境がどうであれ、満足感、感謝の念、人生に意義があると感じるという意味の「ジョイ」です。幸せだ、楽しい、と感じることとは少し違います。
このシリーズでは、Burnight博士の本を参考に、ジョイスパンを延ばす具体的な方法をご紹介していきたいと思います。







