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ポジティブ心理学実践ワーク
ポジティブ心理学

信念を変えて自分も変える⑪ 災難エレベーター

ショーン・エイカー氏はその著書『The Power of Beliefs』の中で人生に充実感や幸福感を感じるためには、7つの信念を持つことが有効だと説明しています。

  1. My behavior matters. (私の行動は意味がある)
  2. I am grateful. (私は感謝している)
  3. I matter. (私という存在は大事だ)
  4. I have something to give. (私は他者に与えられる何かがある)
  5. I am not alone. (私は孤独ではない)
  6. This work is meaningful. (私の仕事には意味がある)
  7. There is something greater than me. (この世には私よりも偉大な存在がある)

そして、その7つの信念を持つようになるために、自分の考えを変えていくために、エイカー氏は次の6つの行動を実行するよう推奨しています。

  1. 情報を消化する脳の構造を変える
  2. 脳が選択する記憶を変える
  3. 反復行動を変える
  4. 使う言葉を変える
  5. 読む文章を変える
  6. 信念を構築する情報ソースの数を変える

一つずつ、説明していきましょう。

「情報を消化する脳の構造を変える」とは、脳のエネルギーを、感情的あるいは衝動的な思考に使うのではなく、論理的思考に振り向けるよう癖をつけることを指します。

私達は問題に遭遇したり、不安や心配に悩まされると、脳が感情的、衝動的な思考をするようにエネルギーを使う傾向があります。「こわい」「逃げろ」「もうだめだ」「怒る」などの心身状態を作るようになってしまいがちです。
迫ってくる仕事の締め切り、お金の不安、健康検査の結果など、未来について悩み始めると、私達の脳の偏桃体が活発になり脅威フォーカスモードになってエネルギーを消耗します。こうなると、論理的思考や感情抑制、問題解決力を司る前頭葉皮質へエネルギーが行かなくなり、正確に、客観的に、物事を捉えることができなくなります。

これを変えていきましょう。
感情に脳を支配させるのではなく、客観的な視野を持ち、論理的に考えることにエネルギーを使うのです。
そのための練習として「Disaster Elevator災難エレベーター」を行ってみましょう

  1. 心配事を一つ取り上げます。
  2. 数分、周囲の音や人に影響されない静かな空間で心身を落ち着けます。
  3. 白い紙を一枚置きます。そこに、その心配事が本当になったら起こるであろう最悪の事態をリストにして書き出します。(できれば10個書き出します)
  4. 書き出した最悪の事態に1~10までランク付けします。(最も悪い事態が10)

これから起こるかもしれない最悪の事態を10個も書き出すなんて、ますます心配が深まると思うかもしれませんが、実はこの作業により、脳が論理的思考へシフトしていくのです。偏桃体の活動が弱まっていくのです。10個の様々な事態を想像し、ランク付けするという作業が、論理的思考を刺激するのです。そして、未来には様々なシナリオがありうるということも、目で確認できます。
特にカタストロファイジングという極端な思考に陥ることを避けられます。
10個書き出した最悪の事態のシナリオのうち幾つかは、冷静に考えてみると起こる確率は非常に小さいと認識できます。

そして、実際、書き出した10の最悪の事態が現実になるのか、確認してみましょう。
10のうち、幾つかは現実になるかもしれませんが、10や9を付けた、最も最悪な事態は現実には起こらなかったことを確認できるしょう。

例えば、Aさんは仕事で重要な顧客向けプレゼンテーションを任せられたとします。Aさんはもしプレゼンが失敗したらどうしようと心配になります。次から次へと悪い事態が浮かんできて、プレゼンの準備に集中できません。そこで災難エレベーターを実行してみます。

10:プレゼンに失敗し、顧客から契約が取れず会社を解雇されて、再就職もできず、ホームレスになる。
9:プレゼンに失敗し、顧客から契約が取れず会社を解雇される。再就職先は見つかるが、今の会社よりも給料はよくなし、嫌いな職種だ。
8:プレゼンに失敗し、顧客から契約が取れず会社を解雇される。再就職先は見つかったが、今の会社よりも給料はよくない。しかし、仕事の内容はまあまあだ。
7:プレゼンに失敗し、顧客から契約が取れず会社を解雇される。再就職先が見つかり、給料も今の会社と同じくらいだ。
6:プレゼンに失敗し、顧客から契約が取れず、上司に失望される。解雇はされないが、昇進のチャンスは逃す。
5:プレゼンに失敗し、顧客から契約が取れない。上司は別に自分を責めなかったが、昇進のチャンスは逃す。
4:プレゼンに失敗し、顧客から契約が取れず、上司は自分に対し立腹し気まづかったが、一か月後には元の関係に戻った。
3:プレゼンに失敗し、顧客から契約が取れず、上司は自分に対し立腹していたが一瞬であり、すぐに次のチャンスに目を向けた。
2:プレゼンに失敗し、顧客から契約が取れず、上司の自分に対する評価を高めることはできなかったが、何も状況は変わらなかった。
1:プレゼンは失敗しなかったが、顧客から契約は取れなかった。誰も自分を責めなかったが、自分自身に失望した。

こう書き出してみると、1や2のシナリオは起こるかもしれませんが、10のシナリオは冷静に考えると起こる確率は極めて小さいとわかります。

この災難エレベーターの作業を繰り返しているうちに、頭の中に様々な最悪の事態が浮かんできて不安になっても、それが現実になる確率は実は小さいのだと認識するようになります。

古代ギリシャの哲学者セネカは

「We suffer more often in imagination than in reality」(私達は現実よりも想像の中でより苦しむ傾向がある)

という名言を残しています。
想像の中であれこれ不安なシナリオを思い描いて脳のエネルギーを無駄使いせず、現実的、論理的に物事を判断できるようになるために、災難エレベーターを練習しましょう。

※Shawn Achor著『The Power of Belief: How Strengthening Sven Core Beliefs Predicts Greater Success and Better Life』(Crown Currency)を参考にしています。

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