心理学博士のJenny Taitz氏はその著作『Stress Resets: How to Soothe Your Body and Mind in Minutes』(ストレス・リセット:あなたの体と心を数分で穏やかにする方法)の中で、ストレスにすぐ対処するストレス・リセットの方法を紹介していますが、加えて、少し時間をかけて繰り返し練習することでストレス耐性を強めるストレス・バッファーの構築する方法も紹介しています。
今回は「Sit with uncertainty」、不確実な世界を受け入れることです。
常に何かを心配している人がいます。
- 体調が優れなかったら、すぐ深刻な病気ではないかと不安になり、ネットで病気に関する情報を検索しまくる。
- 職場の同僚に挨拶しても無視されたら、相手が自分を嫌いで憎んでいると思い込み、果ては会社を辞めたいと思い詰める。
- 来週の旅行で雨が降ったらどうしよう、旅行が台無しになると、くよくよ心配する。
まだ起こっていない未来、不確かな未来を心配し続ける。
心配なゆえに、人の意見を訪ね回ったり、ネットを検索しまくったり、果ては不安に押しつぶされて何もやる気が起きなくなる。
心理学では、このように常にまだ起きていない未来や、不確かな未来を心配し続ける人の症状を「intorelance of uncertainty」(不確実性さへの非寛容)と呼びます。不透明なこと、よくわからないことを受け入れることができず、不安でたまらなくなる心理です。
しかし、未来はもともと不確実なものなのです。私達が望もうと望むまいと、人生は不透明です。
まずは、この真実を受け入れるしかありません。
いつ、何歳で、どこで、どうやって死ぬのかをずっと心配し続けている人がいます。しかし、寿命こそ、人間の思うようにはなりません。自分ではどうにもならないことを心配し続けて、今生きている時間を消耗しているのです。それこそ、もったいないこと、人生の無駄使いです。
Unanswerable questions remain unanswerable.
答えのない質問には永遠に答えはない。
人生には、私達が決めることができない、私達が知りえない、不確実さが存在します。
その不確実さに対して、どうしようと不安がっても、人生から不確実さがなくなることはないのです。
どんなに望み通りの人生を送っているように見える人の未来も、不確実で不透明です。
ですから、まず、未来は不透明なもので、人生は不確実なものだ、と腹をくくるしかありません。
そして、その不透明で不確実な世界において、自分がコントロールできることを探して、それにフォーカスするしかないのです。
前述の例でいえば。
- 体調が優れない→健康診断を申し込んで受ける。
- 職場の同僚に挨拶したが無視された→相手は気付かなかったのかも。次回はもっと大きい声で挨拶してみる。
- 旅行で雨になったらと心配→天候はコントロールできない。雨の場合に備え雨具を用意し、雨でも楽しめる場所を探しておく。
このように、自分がコントロールできることを探して実行するのみです。
どんなに不確実な未来でも、自分がコントロールできることが何かあるはずです。それを探し出して実践することこそ、不確実性に対抗する唯一の武器なのです。
※Jenny Taitzの著作『Stress Resets: How to Soothe Your Body and Mind in Minutes』を参考にしています。