生きていく上で、気分が落ち込み、自分自身に失望したり、自己嫌悪に陥ることは誰にでもあります。落ち込みと人生はセットといってもよいくらいです。
落ち込むこと自体は避けられないとしても、落ち込みから立ち直る方法を身に着けていけば、ダメージを小さくすることができますし、立ち直りも早くなります。回復力を鍛えていくのです。
このシリーズでは、Sue Varma氏の著書『 Practical Optimism: The Art, Science, and Practice of Exceptional Well-Being』を参考に、落ち込みから立ち直る方法を紹介していきましょう。
15個めの方法はソーシャル・レスト social rest、他の人からの距離を保ち一人になる時間を持つことです。
この「他の人」には、家族やパートナー、テレビやSNSも含みます。
他の人のアドバイスや叱咤激励はありがたいこともありますが、あまりにも他の人の声を聞いていると、自分の考えなのか、他人の考えなのか、わからなくなります。
あるいはSNSを見すぎると、不要な情報をインプットして感情的になったり、不安をあおられたり、あるいは見ず知らずの他人の行動(芸能人などその最たる例です)に怒りを覚えてイライラしたり。
自分と他者との境界線があいまいになり、自分の考えや気持ちがかき乱され、ネガティブな感情に陥りやすくなります。
不安感の増大。
他者との比較による自己嫌悪。
他者の意見に影響されて自信喪失。
あまりにも他者の見解に圧されてネガティブな気持ちが高まったきたら、他者との繋がりを一定の時間内で断ち、自分一人だけの時間を持ちましょう。これがソーシャル・レストです。
ソーシャル・コネクション、社会的な繋がりはもちろん大切ですが、時には一人だけの時間、空間にこもってみましょう。ソーシャル・レストは、エモーショナル・レストにもなります。
波風が立っていた湖の表面が、すーっと静かになるように、自分の心を平らにしていきましょう。
- 時間は10分~1時間。
- 自分一人だけの空間で。(自分の個室が最適ですが、スペースがなければお風呂やべランダ、あるいは人が近くにいない公園のベンチでもオーケー)
- スマートフォンは持っていてもいいですが、電源オフにして。あるいは近くに置かないで。
- ただ、ぼーっとしてみて下さい。心を空白にするようなイメージです。
- 窓から空を見上げてもよいですし、目を閉じてもいいでしょう。
- どうも落ち着かないという場合は、キャンドルを灯して、その灯をじーっと見つめてみて下さい。
ぼーっとしようとしても、頭に次々といろいろな考えが浮かんでくるかもしれません。
それはそれでよいのです。
ただ一つの考えが浮かんできたなあと思うだけです。
ちょうど空を雲が次々と風に吹かれて流れていくイメージです。
いろいろな雲が浮かんでくるけれど、それにとらわれず、風に流していく。
ソーシャル・レストをすると、
- 自分がいかに心理的に、あるいは身体的に疲れていたかを自覚する。
- 何が問題なのか、クリアーになってくる。
- 意外とよいこともあると気づく。
- 自分にとって本当に大切なことは何かに気づく。
- イライラが鎮まり、感情が穏やかになる。
などの効果があります。
瞑想の効果と似ていますね。
瞑想ほど形式ばったものではありませんが、気持ちが落ち込んだら、一人になってソーシャル・レストをしてみて下さい。他者の意見があふれた世界から、ちょっと距離を置いてみて下さい。
心身の疲労を和らげる効果があります。